日本の離島には、火口・溶岩・噴火によって生まれた海岸、温泉、湧水など、火山活動がつくり出した風景を楽しめる島が数多くあります。
離島の火山の魅力を感じる方法は、山頂を目指すことだけではありません。海岸に残る黒い溶岩を眺めたり、噴火で変化した集落を巡ったり、火山の熱で生まれた温泉に入ったりすることでも、火山と島のつながりを体感できます。
この記事では、夏に訪れたい離島の活火山を7つ、それぞれの島で見ておきたい火山景観とアクセス方法を紹介します。
目次
1.利尻島・利尻山|海からそびえる火山と溶岩海岸

北海道北部の日本海に浮かぶ利尻島は、島の中央にそびえる利尻山を中心につくられた火山島です。
利尻山は、見る場所によって山の形や稜線の表情が変わります。島の南東部にあるオタトマリ沼では、湖面の向こうに利尻山を望むことができ、風の穏やかな日には山の姿が水面に映る「逆さ利尻」を見ることができます。
また、オタトマリ沼は、かつておこった水蒸気爆発によって誕生したマールと呼ばれる火口跡です。利尻山と一緒に眺めて、火山活動の痕跡を感じてみましょう。

島の最南端にある仙法志御崎公園も、火山島らしさを感じられる場所です。海岸には、利尻山の噴火で流れ出した溶岩が冷え固まった黒い奇岩が並びます。海には昆布やウニがおり、火山活動が海にもたらす恩恵も感じられるでしょう。
他にも、西海岸の麗峰湧水では、利尻山に降った雨や雪が地下に浸透し、長い年月をかけて湧き出した水に触れられます。火山がつくる景観だけでなく、水の恵みにも注目したい島です。
アクセス
- 飛行機:丘珠空港・新千歳空港〜利尻空港
- 船:稚内港〜鴛泊港 礼文島からの航路も有
- 島内移動:路線バス、定期観光バス、タクシー、レンタカーなど
2.伊豆大島・三原山|火口、溶岩原、地層を巡る

伊豆諸島のなかで最も本州に近い伊豆大島は、島の中央に三原山がそびえる火山島です。東京都心から比較的訪れやすく、島内のさまざまな場所で火山活動の痕跡を観察できます。
三原山周辺では、1986年の噴火で誕生した割れ目噴火口や、流れ出した黒い溶岩など、つい40年前の火山活動の痕跡を間近に見られます。

また、三原山の東側に広がる裏砂漠は、黒い火山噴出物に覆われた荒涼とした大地です。周囲に高い木が少なく、地面と空が大きく広がる風景は、一般的な砂浜や砂丘とは異なります。

他にも、島の南西部では、道路沿いにまるでバウムクーヘンのような大きな地層の断面(地層大切断面)が見れます。過去の噴火で降り積もった火山灰やスコリアが幾重にも重なり、伊豆大島の火山活動の歴史を感じられる場所です。
さらに伊豆大島ミュージアム ジオノスでは、噴火の仕組みや1986年噴火、火山防災について学べます。火山について学びたい人は、ぜひ行ってみましょう!
アクセス
- 飛行機:調布飛行場〜大島空港
- 船:竹芝客船ターミナル〜岡田港か元町港
熱海港〜伊東港〜岡田港か元町港 - 島内移動:路線バス、タクシー、レンタカー、レンタバイクなど
3.神津島・天上山|白い砂漠と池が広がる火山

神津島の中央には、島のシンボルである天上山がそびえています。
天上山の山頂部には、表砂漠・裏砂漠と呼ばれる白い砂礫地や、火口跡に水がたまったハート型の不動池などがあります。緑の低木・岩場・池・白い大地が近い範囲に集まり、一つの火山の中で景色が大きく変化します。
裏砂漠の展望地からは、白い大地の向こうに青い海や伊豆諸島を望めます。神津島は、黒い溶岩(玄武岩)が印象的な伊豆大島とは異なり、明るい色の溶岩(流紋岩)がつくる景観が特徴です。
アクセス
- 飛行機:調布飛行場〜神津島空港
- 船:竹芝客船ターミナル〜前浜港(神津島港)か多幸湾
熱海港〜前浜港(神津島港)か多幸湾
下田港〜前浜港(神津島港)か多幸湾 - 島内移動:タクシー、レンタカー、レンタバイクなど
4.三宅島・雄山|噴火で変化した島の風景を巡る

三宅島は、近年では1983年、2000年と頻繁に噴火を繰り返してきた活火山です。島内には異なる年代の噴火跡が点在し、火山が島の地形や暮らしを変えてきたことを実感できます。
火山体験遊歩道では、1983年の噴火で流れ出した溶岩の上を歩きながら、溶岩に埋もれた旧阿古小中学校を見ることができます。

2000年噴火の痕跡が残る椎取神社では、泥流に覆われて上部だけが残った鳥居や、火山ガスの影響を受けて立ち枯れた森林が見られます。
このほか、噴火で生まれたひょうたん山・三七山や、新鼻新山など、島内各地に火山の見どころがあります。複数のスポットを巡ることで、噴火の年代や現象によって異なる地形が生まれることが分かります。
アクセス
- 飛行機:調布飛行場〜三宅島空港
- ヘリコプター:大島空港〜三宅島空港
- 船:竹芝客船ターミナル〜三池港か伊ヶ谷港か錆ヶ浜(阿古)港
- 島内移動:村営バス、タクシー、レンタカー、レンタバイク
5.八丈島・八丈富士|火口、溶岩台地、温泉を楽しむ

八丈島は、西側の八丈富士と東側の三原山という、異なる2つの火山からなる島です。
整った円錐形をした八丈富士は、島のさまざまな場所から眺められます。山の中腹にあるふれあい牧場からは、山麓に広がる町や海を一望できます。

海岸で火山景観を楽しむなら、南原千畳敷海岸がおすすめです。八丈富士から流れ出した溶岩が海岸に広がり、黒く平らな岩場をつくっています。
また、島の南東部には温泉が点在しています。海を眺められる温泉や足湯もあり、火山がもたらす熱を体感できます。
アクセス
- 飛行機:羽田空港〜八丈島空港
- 船:竹芝客船ターミナル〜底土港か八重根港
- 島内移動:町営バス、タクシー、レンタカー、レンタバイクなど
6.福江島・福江火山群|草原の火口と黒い溶岩海岸

五島列島最大の島・福江島には、複数の小さな火山からなる福江火山群があります。

代表的な山が鬼岳(おんだけ)です。名前から険しい山を想像するかもしれませんが、実際は全体が草原に覆われた丸みのある火山(スコリア丘)です。鬼岳休憩所からは福江市街や五島つばき空港などを見渡せます。

海岸へ向かうと、鬼岳付近から流れ出した溶岩によってできた鐙瀬(あぶんぜ)溶岩海岸があります。ゴツゴツとした黒い溶岩の海岸が続き、遊歩道や展望所から溶岩と海の景観を観察できます。近くの鐙瀬ビジターセンターでは、福江島の地質や動植物について学べます。
他にも、カヅメ海岸では海に消えた火山の痕跡を、富江半島では溶岩トンネルの井坑(いあな)を見ることができます。一つの山だけでなく、島内各地の火山地形を巡れることが福江島の魅力です。
アクセス
- 飛行機:福岡空港・長崎空港〜五島つばき空港
- 船:長崎港〜福江港、博多港〜福江港
- 島内移動:路線バス、タクシー、レンタカー、レンタバイク
7.薩摩硫黄島・硫黄岳|噴煙と温泉がつくる火山島の風景

鹿児島県三島村の薩摩硫黄島は、現在も活動を続ける硫黄岳がある火山島です。約7300年前(縄文時代)に巨大噴火がおこった鬼界カルデラの端に位置しています。
島に近づくと、白い噴気を上げる硫黄岳が見えてきます。山肌には硫黄が付着し、灰色、白、黄色が混じった荒々しい姿をしています。

海岸では、地下から湧き出す温泉や鉄分などの影響によって、海面が赤褐色や黄緑色に見える場所があります。港周辺でも海の色が変化しており、島へ到着した時点から火山活動を感じられます。
島内にはいくつか温泉も沸いています。東温泉では、海岸の岩場から湧く温泉に入れます。噴煙を上げる火山、色づいた海、自然湧出の温泉が一つの島に集まっていることが、薩摩硫黄島の大きな特徴です。
2026年6月時点で、薩摩硫黄島は噴火警戒レベル2の火口周辺規制が発令されています。地元自治体の指示に従い、火口周辺などの危険な地域には立ち入らないでください。
アクセス
- 飛行機:鹿児島空港〜薩摩硫黄島飛行場
- 船:鹿児島港〜硫黄島港
- 島内移動:レンタカー、レンタサイクル
離島の活火山を訪れる前に確認したいこと

離島では、強風・高波・霧・台風などによって船や飛行機が欠航することがあります。便数が少ない島では、欠航によって帰る日が延びる可能性もあるため、日程には余裕を持たせましょう。
また、活火山の状況や立入規制は変化します。旅行前だけでなく散策当日にも、気象庁、自治体、観光協会が発表する情報を確認してください。
火口周辺や溶岩原、草原、海岸は日差しを遮る場所が少ないです。帽子、飲料水、雨具などを準備し、自分の体力や天候に合った範囲で楽しむことが大切です。
夏は海だけでなく、火山を目的に離島へ

離島の活火山には、一つとして同じ風景がありません。
利尻島では、海からそびえる火山と溶岩海岸を一緒に眺められます。伊豆大島では火口や黒い裏砂漠、三宅島では集落を覆った溶岩や新しく生まれた山を見ることができます。
八丈島には美しい八丈富士と温泉があり、福江島では緑のスコリア丘と黒い溶岩海岸を巡れます。薩摩硫黄島では、変色した海や自然湧出の温泉から、現在も続く火山活動を感じられます。
私自身も行ったことがない火山の離島が多数あるので、いつか絶対に訪れたいです!
山頂を目指さなくても、展望所・海岸・遊歩道・温泉・資料館などを巡ることで、火山が島の風景や暮らしをつくってきたことが見えてきます。夏の離島旅行では、海だけでなく、その島を生み出した火山にも注目してみてください!
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